純愛恋桜

仏のような笑みを浮かべる男に
零は問た。


「んー
あるっちゃあるんですけど・・・
六月の出来事になっちゃんうんですけど大丈夫ですか?」


零の言葉にその男も土方も驚いた。

予知する未来が先であればあるほど、自分たちの命が伸びるというのに

あえて、それを申し訳なさそうに問いてきたことに。



零や千秋にあるのは「生き延びたい」
という考えではない。

「信じて欲しいが迷惑にならないか?」
という、その時代にはそぐわないような謙虚な考え方だった


いつ死ぬかわからないような
時代や場所に身を置いている彼ら男達には、命しらずにも思えたかもしれない

しかし、その心が疑いや警戒に満ちた男達の心を動かした。
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