狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅹ 異空間の旅Ⅰ
振り返り、体を支えてくれたのはテトラだった。彼は微笑むとゆっくり前方を指差した。
「足元を見てはいけないよ、目的地…つまり行きたい国の門の明かりを見つめて歩くんだ」
「いきたい国の門…明かり…」
テトラが指差した方向には金色に輝く門、門が輝いているわけではなく…内側の光が外に漏れているような感じだった。
「あの、先輩…あれはどこの国か知ってますか?」
「あれは精霊の国さ」
「へぇ…」
二人の会話を耳にしたアレスはゴクリと喉を鳴らした。
(精霊の国…
たしか…第一位の王が治める国だ…彼はたしか人嫌いなところがあって、長く生きながらもその姿を知らない王たちがいる程だと…)
トントン…
俯くアレスの肩を叩いたのは、後方にいたもう一人の先輩にあたる物静かな青年だった。
「精霊の国に立ち入ってはだめだ。惑わされるよ」