狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅹ―ⅱ 精霊
(しっかりしなくては…っ!私は使者なんだ!!)
キッと顔をあげ、小さな旋風を見つめながらアレスは加護の灯を握りしめた。
「我々は悠久の王・キュリオ様の命を受け参上いたしました使者にございます!証はこの"加護の灯"、貴殿の王へ渡していただきたい書簡をお持ちしました!!」
堂々と言ってのけたアレスに背後から声援を送るカイ。
「いいぞ!アレス頑張れっ!!」
テトラやブラストたちは背後から彼の有志を穏やかな表情でみつめていた。
『ちっ…』
それまで笑っているような雰囲気を見せていた旋風からは舌打ちするような音が聞こえ、その雰囲気はどんどん険悪なものに変わっていく。
『…悠久の使者か…さっさと出しな!』
旋風がアレスの目の前を勢いよくかすめると、背後にいたブラストが精霊の王の名が書かれているらしいキュリオからの手紙を一通差し出す。