狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅹ―ⅶ 五大国・最強の王
さらりと言ってのけた彼は涼しい顔で恐ろしいことを呟いた。真っ青になる幼い二人を見てテトラが肘小突くように彼を咎める。
「僕は本当のことを言ったまでだ」
ツーンと顔を背けた青年は次の目的地へとすたすた歩きだしてしまう。しかし、まだショックを受けているらしいアレスはカタカタと震えだしその場から動くことが出来ない。
「千年王の精霊王…すべての力の源と言える精霊を統べる彼がもし争いを起こしたら…」
物騒なことを呟いたアレスをブラストが顔を覗きこんだ。
「アレス、物は考えようだ。精霊王はこの長い時の間、何も起こしていないだろう?」
「は、はい…そのようなことを聞いたことはありません」
「な?それだけ温和な王様だってことさっ!!もしその気ならとっくに戦争でもなんでも起こしてると思うぞ!!」
ガハハと笑いアレスの背中を叩いたブラスト。
アレスの顔を上げされる為に言った言葉だが、精霊王がどんな人物なのか誰にもわからなかった―――