狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅺ 異空間の旅Ⅱ

「え?」

「ん?」

アレスとカイは不意打ちをくらったような声を出した。すると、ガハハと笑ったブラストが腕組みをしてもっともらしく胸をはる。


「第四位か五位の王っていってもな!!お前らより何万倍も強いぞ!!そしてここが”ヴァンパイアの王”が統べる吸血鬼の国だ!!」


「って!なんであんたが威張ってるんだ!!」


カイはブラストへ鋭い突っ込みを入れたが、ブラストはふふんと鼻で笑っている。


「精霊は"惑わす"が、ここでは"喰われる"から気を付けろっ!!」


「うげぇ…っ!そっか、ヴァンパイアだもんな…」


いきなり気落ちしたカイ。まだヴァンパイアという種族に出くわしたことがないため、想像すると恐ろしいものがある。人の血を好み、その種族特融の翼をもつ夜の世界の者たち。そして彼らは人よりも長い命であることは有名な話だった。


「四位か五位というくらいですから、まだ即位して日が浅いということでしょうか?」


アレスの言葉にブラストは首を横に振った。


「吸血鬼の王は在位二百年以上の王だ」


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