狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅻ―ⅰ 特異質な神具
「血を吸うとかそんなところしか思い浮かばないけどなぁ…」
するとニカッと笑ったブラストが、ぐっと親指を突き立てる。
「さすがは俺の生徒だっ!!ヴァンパイアの王の神具の爪には血と人のエネルギーで強化される厄介な能力を持っているんだぞ!くれぐれも気を付けろ!!」
「げっ!!なんか生き物みてぇなやつだなそりゃ…」
カイはおぞましいものを想像し、身震いしている。しかし、それがまた…それぞれに与えられた特別な武器であることから、半ば少し羨ましくもあった。
「俺には何かないのかな、そういう特別なやつ…」
カイは小さな両手を見つめ、ぎゅっと手のひらを握りしめた。
話に区切りがついたと思ったアレスは彼らを振り返り声をかける。
「教官、ずいぶん予定が遅れてしまっているようです。少し急ぎますがよろしいでしょうか?」
「ん?」
カイから視線を戻し、ブラストはアレスの言葉に首を傾げている。