狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅻ―ⅱ 各国の位置関係
「遅れてなんかいないぞ?どうしてそう思う」
「え?いえ…吸血鬼の国を訪れた際、すでに夜だったものですから…」
なるほど、とテトラたちと顔を見合わせるブラスト。
そしてニカリと笑い…
「あの国には昼がないんだ!永遠の夜の国と言えばいいのか!?」
「そう…なんですか?」
「へぇ…」
(いいな、こいつらの反応!まったく教え甲斐があるってもんだぜ!!)
ブラストは教官魂をくすぐられ、つい胸を張ってこたえてしまう。
「異空間から見れば規則正しく門が並んでるように見えるだろ?でもな、上も下のないような空間だからこそ…門をくぐればまったく別の場所にでるってもんだ!!さっきの国の月はすごいでかかっただろ!!」
「そこまで見てねぇよ!もっと早く言えよな!!」
むくれるカイと、神妙な面持ちのアレス。
(知らないことばかりだ…)
言われてみれば確かにそうだ。アレスは注意深く観察していたつもりだったが、そこまで考えている余裕などなかった。そして単純なカイはもっと見ていなかったのは言うまでもない。
「だから時間のことは心配しなくていいぞ!ちゃんと予定通り進んでるからな!」
「わかりました。では歩調を変えず次の門へ向かいます」
ほっとため息をついたアレスは次の門へと足を向けた。