狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅻ―ⅲ 死の国・冥王の存在
(次はあそこか…)
少し遠くにあるその門には、灰色の靄(もや)がかかっており…ここからではよく見ることができない。と、いままでとは違うその門の風貌にガーラントの言葉を思い出す。
"死の国に立ち入ってはならぬ…冥王とは顔を合せてはならん"
そう言った時のガーラントの顔を思い出し、ゾクリと嫌な汗が背中を伝う。(先生はそのことをすごく気にしておられたんだった…)
クリアしたふたつの門でさえ多少危うい場面があった。しかし…"死の国と冥王"と具体的に忠告を受けるというのは一体どういうことだろう。とアレスは思考を巡らせている。
「教官、次はおそらく死の国の門です。先生に気を付けろと言われていたのですが、冥王マダラ様とは一体どのような方なのですか?」
「…ガーラント殿は他に何か言っていたか?」
カイとじゃれあっていたブラストが急に真剣な顔になり、声がわずかに低くなる。
「死の国立ち入るな、冥王と顔を合せるな。と…」
「そうか…」
含みのあるブラストの言葉に、カイがしびれを切らしたように声をあげた。
「だーかーらーっ!そうやって一人で納得してねぇで教えろって!!」
「冥王が傍にいると思ったらすぐに門から離れろ。魂を狩られるぞ」