狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
Ⅻ―ⅶ 現れた冥王
「私たちは…悠久の地より参りました使者でございます!!
我が王、キュリオ様の命により冥王マダラ様へ書簡をお持ちいたしましたっ!」
『……』
声は届いているはずだが、向こう側からの返事がない。それどころか先程の大きな気配が消え、別の複数の気配が近づいてきた。
『悠久の使者殿、ただいま門を開けますので少しお下がりください』
明らかに違う別人の声に、ブラストを始め一行はほっと肩の力を抜いた。カイは腰を抜かしてしまったのかその場にしゃがみこんでいる。やがて安心したアレスが先程の呪縛から解放され、ブラストのいる方へ向き直った。
わずかに開いた門の傍には灰色のローブをまとった門番と思わしき数人の男はフードをかぶっている。すぐブラストの手にしている灯を確認し頷くと、彼の差し出したキュリオからの手紙を快く受け取った。
「悠久の使者殿。マダラ様への書簡、確かにお預かりしました」
ブラストと対峙している門番の彼はとても礼儀がよく見える。おかしなところと言えば深くフードをかぶっているせいで顔が暗く、よく見えないことだ。そしてアレスは彼らの背後を見渡し、先程の圧倒的な気配を探した。
(…よかった、もういないみたいだ…)
全身から力が抜けたアレスが、カイ同様にしゃがみかけたその時…
「さっきからずっとここにいるよ?」