狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅢ 異空間の旅Ⅳ
そしてまたアレスを先頭に加護の灯が掲げられる。
最後の門をめざし一行が視線を向けると、そこには大きな岩でできた巨大な門が堂々たるその姿を現していた。
気を取り直したブラストは懐かしそうにその門を見つめ口を開く。
「あれは雷の国の門だ。王の持つ神具は槍。彼は<革命の王>と呼ばれている。そしてもうひとつ…」
さらにブラストが続けようとすると別の声がかかった。
「<雷帝>と呼ばれている、俺の名はエデンだ」
「…この声は…」
貫禄を備えたような重みのある声にアレスとカイは身を固くし、構えるように体勢を低くした。するとブラストが小さく笑い彼らをたしなめる。
「お前ら安心していいぞ!エデン様は危険なお方じゃないからなっ!!」
二人の肩に勢いよく手をのせると、ほっとしたのか彼らの体から力が抜けていく。そして安堵する一同の元に大きな気配が近づいてきた。
やがて雷の国の門から堂々たるその姿を現したのは…
「久しぶりだなブラスト」
長身のキュリオよりもさらに大きく、美しく磨き上げられた白銀の鎧の下には見事に鍛え上げられたバランスのよい筋肉が隆起しているのが遠目からでもわかる。異空間はとても暗いが、彼の姿がよく見えるのは内側から放たれている彼自身のオーラだということがわかった。