狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅢ―ⅰ 雷の王
(なんだこの感じ…見えない風に体が押されてるみたいだ…!!)
油断すれば仰け反ってしまいそうな体をやっとの事で踏ん張り、耐えていることを悟られないようにするのが精いっぱいなカイだった。
「…これがっ、雷の王…」
ぼそりと呟いた小さな剣士は彼の気迫の圧倒されながらも、先程感じたマダラの時とは違う別の強さのようなものを肌で感じている。
そして声をかけられたブラストは、懐かしそうな笑みを浮かべ彼の前で深く一礼する。
「お久しぶりでございます!エデン王っ!!」
「あぁ」
彼が鮮やかな青い布地に銀色の刺繍の施された大きなマントを翻すと、彼の大きな手が伸びて顔をあげたブラストとしっかり握手を交わしている。
(…ブラスト教官はエデン王とお知り合いなのだろうか?)
その二人の親し気な様子をみたアレスは安心し、ここぞとばかりに雷の王の顔を覗き見た。今まで他の王と会う機会がなく、見れたとしても先程の冥界の王のように心を許してくれているわけではないからだ。
(この方が<革命の王>エデン様…)
彼は二十代後半ほどの見目を保っており、精悍な堀の深い顔立ちは彫刻を思わせる大人の男の美貌を誇っていた。そして髪は力強い稲妻を連想させる癖のある短髪で、やや濃いめの橙色をしている。