狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅢ―ⅱ 雷の王
そして、まじまじと見つめてくる小さな瞳に気が付いたエデンは視線をアレスとカイへと向け…
「ん?なんだチビ。俺の顔になんかついてるか?」
稲妻の地鳴りのような低い声で問われ、アレスとカイは慌てて姿勢を正す。
(しまった…っ!あまりにも不躾な・・・)
アレスはとっさに別の事を考えた。言い逃れをするわけではないが、これは他国と違って彼の別名が二つあることが気になっていたからだ。
「エデン王!ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか!!」
緊張のため声が上ずりながらもアレスは思い切って質問してみることにした。王と会話が出来ることなど滅多にない。その興奮が後押ししているのか、いつになく積極的な彼だ。
「なんだ?言ってみろ」
腕組みをした雷の王は了承し、アレスの言葉に耳を傾けている。
「ありがとうございます!
<革命の王>と<雷帝>と呼び名が二つあられるのは何故でしょうか…」
勢いに任せて言葉を発したアレスの語尾がだんだん弱くなっていった。それもそのはず、先程まで親し気に笑みを浮かべていたエデン王の顔が一瞬険しくなったからだった。
「…アレス、その質問は…」
慌てた様子のブラストがアレスを振り返り、前方のエデンの様子をうかがっているように見えた。