狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅢ―ⅵ 第四位の王・エデン
「やり遂げてこそ…」
茫然と雷の王の言葉を聞いていたカイだが、その言葉はとても重く心に自然と流れ込んでくる不思議な感じだった。その何かを感じ取った様子のカイに、ブラストは嬉しそうに口元へ笑みを浮かべる。
(さすがはエデン様…このお言葉がカイの何かをきっと変えてくれるだろう)
「…そろそろ悪いが俺はこれで失礼する。じゃあなブラスト」
「こちらこそ、貴重なお時間を…」
再度深く頭を下げるブラストたち。それをみた彼は小さく頷くと、重量感のある白銀の鎧が高貴な金属音を奏で力強い動作でマントを翻しその場を立ち去ってしまった。
(ありがとうございます…エデン様)
いつまでも見えなくなった彼の背中を感謝の意を込めてみつめていたブラストは、興奮冷めやらぬテトラの一声で我に返った。
「あのお方がエデン様…在位三百年を越える第四位の王!!なんて素晴らしい…っ!!」
「第四位…?」
それまで黙っていたアレスは、少し前に語っていたブラストの言葉を思い出した。
(たしかあれは…吸血鬼の国を訪問した時のこと…)
"そうだ!あれは第四位か五位の王がいるところだな!!"
雷の王が第四位だとすると、必然的に冥界のマダラ王が第三位ということになる。
(精霊王が第一位でキュリオ様が二位、マダラ王が三位でエデン王が四位、そしてヴァンパイアの王が五位…か…)
(先輩の興奮状態からみても他国の王に会える機会なんてそうそうないんだ。でも、教官は?どうみても二人は知り合いのような口ぶりだった…そして<雷帝>を語った時のあの悲し気な表情は一体…)
彼が天才と言われる由縁はその魔導の力だけではない。若干五つにしてここまで頭が回り、大人顔負けの思考力・洞察力を併せ持っているからなのだ。