狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅢ―ⅸ 先代・悠久の王の言葉Ⅱ
『そう、私でも行けないんだ』
『託した想いは"私はあなただけを見つめる"。
太陽とその光を仰ぐこの花に自分と彼を重ねていたのだろうね…』
『…』
それを聞いて黙ってしまった銀髪の青年に当代の王は心配そうに顔を覗きこんだ。
『キュリオ?どうしたんだい?』
『申し訳ありません…なんだか胸が苦しくて』
『…そうだね』
俯くキュリオに悲し気に瞳を揺らした心優しい当代の王。
『その二人がどうなったか…彼の後の王たちならば何か知っているかもしれないね。』
『…っ!それはどこの国の王なのですか?!』
はっと顔をあげたキュリオに先代の王は今までの優しい微笑みを消し、一瞬真剣な表情を見せ口を開いた。
『…それはね…』
―――そこまで思い出し、キュリオはいっきに現実へと引き戻された。腕に抱く小さな少女が身を乗り出してその花に触れようとしたからだった。
「……っ!」
あやうく彼女を落としてしまいそうになったキュリオは慌てて小さな体を抱え直す。
「元気がいいのは良い事だが…それは私の腕の中だけにしておくれ」
愛しさを込めて彼女のこめかみに口付けを落とすと、あの時の先代の言葉が胸に響く。