狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅤ―ⅵ 予想外の結末Ⅱ
「雷の国の使者殿、ご苦労だった。内容に不備などなかったよ、エデンと大臣に礼を言っておいておくれ」
「必ずお伝えいたします。では我々はこれで」
またも足並みをそろえ綺麗に一礼し立ち去る使者たち。[雷の国]の者は規律正しく、統制のとれた国だと聞くが実にその通りだった。
キュリオの指示で数人の家臣たちが使者を見送るため広間を出て行くと、ブラストたちはどうしたらよいかわからず棒立ちになっている。するとその様子に気が付いたガーラントが彼らに近づいてきた。
「お主ら、使者の務め本当にご苦労じゃったな。四ヵ国の返答が出そろった今、キュリオ様は別の問題に直面してしまったのじゃよ。そなたらを労って隣の部屋に食事も用意されておるでな、ゆっくりして行くとよい」
「本当かっ!?」
ガーラントのその言葉に喜びの声を発したのはカイだった。そして色々と質問を用意していたアレスだったが、ガーラントは話に取り合ってくれる感じではないことを悟ると、渋々頷いた。
「わかりました…」
落胆した様子のアレスを見たガーラントは、小さな彼の肩に手を置くと視線を合わせながら気遣いを見せる。
「すまんのぉアレス。今回の事、何か思うところがあったんじゃろう?必ず話は聞くでな、後日時間をとろう」
大魔導師のその言葉に顔をあげたアレスは、元気よく言葉を発した。
「ありがとうございますっ!先生!!」