狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅤ―ⅸ 愛しいという言葉Ⅰ
キュリオがそっと手を差し伸べると、彼女も懸命にそれに応えようと腕を持ち上げて見せた。しかし寝起きで力が入らないのか、彼女の腕は途中でだらりと落ちて…しまいそうになるのをキュリオの手がしっかりと受け止めた。
「お前は私の娘だ。血の繋がりなど関係ないさ…」
「……?」
不思議そうな眼差しを向けるアオイ。するとクスリと笑ったキュリオは彼女の小さな体をベッドから起し、全身で彼女の存在ごと抱きしめた。そして幸せそうに目を閉じて、五感のすべてで彼女を感じていると…じんわりと心にあたたかい感情が沸き起こってくる。
「"愛(いと)しい"という言葉は…お前のためにあるような言葉だね」
彼は本心からの言葉を紡(つむ)いだ。そしてわずかにキュリオの腕に力が込められると、腕の中にいる幼子の瞳は悲し気に揺れるのだった―――