狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅥ―ⅰ 彼女のために出来る事Ⅰ



「アオイの笑顔が陰ってしまわぬよう、私はどんな事でもするつもりだよ」


「…?」


先程から不思議そうにキュリオを見つめているアオイの瞳は、明るい月に照らされ優しい光を放っているように見える。キュリオはそんな彼女に魅入られるように目が離せない。


「今のアオイもすごく魅力的だけれど、早く言葉を交わしてみたい…君が何を思って何を感じているか…すべて私に教えておくれ」


アオイに問うように小さく首を傾けてみると、さらさらと流れる艶やかなキュリオの髪。それに反応した小さな幼子はゆっくり手を伸ばし、撫でるように指先を動かしている。そして指に触れたキュリオの髪が小さく揺れるたびに彼女は興奮したように声をあげる。


「きゃぁっ」


(…動く物に興味があるのかな?)


クスリと笑ったキュリオは彼女が赤子のうちにたくさんのものを目にうつし、感性を磨いてやろうと考えた。しかし、その心に偏りがあってはならない。


「傍にいるのが大人たちばかりではアオイも退屈だろう。やはり子供は子供と交流する機会を持たなくてはいけないね」


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