狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅥ―ⅴ 大魔導師・ガーラントの見聞Ⅰ
「ガーラント先生!」
ぱっと表情を明るくし、大魔導師を招き入れたアレス。するとすぐに給仕担当の侍女が三人分のお茶を手にして室内へと入ってきた。
「食事はもうよいのか?」
まだたくさん残っている皿の上の料理に目を向けると、ガーラントは若い二人の顔を見比べている。
「ええ、もう存分にいただきました。すみません私たちばかり先にいただいて…」
遠慮がちなアレスは申し訳なさそうに肩をすぼめている。キュリオやガーラントたちがまだ執務中だと思っているようだ。
「そんなことは気にせんでいいんじゃよ」
優しい笑みを浮かべるガーラントは手元のカップに口を付けて、香りの良い紅茶に喉を潤わせるとゆっくり顔をあげた。
「さて…ブラストの報告もさわり程度にしか聞く暇がなかったでな、詳細は彼らの報告書を見るとして…アレス、カイ。お前さんたちの話を聞くとしようかのぉ」
「はいっ!」
「おうっ!」
アレスとカイがそれぞれ元気よく返事すると、ガーラントは目を細め"うむうむ"と頷いている。