狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅥ―ⅵ 大魔導師・ガーラントの見聞Ⅱ


「あ、あのっ!俺さ…書簡の内容知らねぇんだけど…それって聞いちゃだめかな…」


カイが先程口にしていた疑問をさっそく大魔導師へと投げかける。ゴクリと唾を飲みこみ、ガーラントの返事を待つこと数秒…


「…それについてじゃが、まもなくキュリオ様より皆に直々に話があるだろう。儂らはただその時を待てばいいのじゃよ」


「…」


そういうガーラントの顔は穏やかだったが、何故かそれ以上聞き返してはいけない雰囲気が彼を包んでいる。キュリオの絶対の信頼を得ている彼はきっと何を言っても口を割らないだろう。大人しく聞き分けたカイは若干気落ちしたように頷いた。


「…そっか、しょうがないよな…わかった」


一区切りついたカイの質問に、今度はアレスが身を乗り出した。


「先生、ブラスト教官とエデン王の関係を聞いてもよろしいでしょうか?お二人は親し気に言葉を交わされていて、私がエデン王の持つ二つ名の<雷帝>について伺ったときも教官は何か知っている様子で…」


一瞬ピクリと眉を動かしたガーラントの表情をアレスとカイは見逃さなかった。


(今の反応…先生もきっと何か知っているんだ)


「ふむ…エデン王に会ったか」


大魔導師は何をどう話そうか悩んでいる様子で、豊かな白い顎鬚をゆっくりと撫でている。


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