狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅥ―ⅶ 大魔導師・ガーラントの見聞Ⅲ
「数十年前、エデン王が何かの用でキュリオ様を訪ね、悠久をおとずれたことがある。武芸に達者なエデン王じゃからの、稽古場を覗いていた際に若かりしブラストと意気投合したという話は儂も知っておる。じゃがその話からするに…その後も交流があったということかのぉ?」
「そうだっ!エデン王凄かったぜっ!!すっげつえぇんだろうなあの人っ!!」
思い出したようにカイは興奮しながら捲し立てる。やはり戦士としての血が騒ぐのか、あの猛々しいまさに稲妻を思わせる力強さが忘れられないようだ。
「うむ。エデン王は立派なお方じゃ。あの国は統制も取れておる。カイよ、そなた何か言葉は交わしてきたか?」
「お、おう!まぁ…躾がなってないって言われちまったけどな…"立派な悠久の剣士になれ。役目を与えられて一人前というのではない。やり遂げてこそ一人前というものだ"って言われたぜ!!」
腕組みをしてエデン王を真似たカイが胸を張って言ってのけた。ははっと笑うアレスにガーラント。
「あのお方は一言ひとことに重みがある。色々なことを見聞きしている分、物事を見極める瞳は人一倍なんじゃよ」