狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅥ―ⅷ 大魔導師・ガーラントの見聞Ⅳ
「…色々なことを見聞きしている?」
含みのある大魔導師の言葉にカイが食いついた。さらにエデン王とのやりとりを思い出したアレスが口を開く。
「そうだ…途中エデン王は"俺の…いや、俺達の永遠の恋人が"って言っていた。その時の彼はなんだか悲しそうな顔をしていて…もしかしてその事と何か関係があるのですか?」
おそらくアレスの言葉は的を得ていた。しかしガーラントは頷かない。
「儂もよく知らんのじゃ。エデン王が自らの口で説明せんかぎり、真実は彼の胸の中じゃよ。もしそれが関係しておったとしても、あのお方の信頼を得ていない儂らには話してくれることは何もないだろうて」
またも落胆してしまったカイの肩に手を置くガーラントは"エデン王と会えただけ幸運じゃよ"と彼を慰めている。
(ガーラント先生は詳しくは知らないのかもしれない…でも私たちに言えない何かを知っているのは確かだ。…エデン王とブラスト教官…か)
アレスの抱いた疑問が現時点ではっきりしたとしてもきっと何にも辿り付かない。
―――やがて来る運命の時…五大国の五人の王と、まだ見ぬ鍵を握る人物が"譲れない願い"を胸に…激突することをまだ誰も知らない――――