狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅦ―ⅰ 精霊王の謎Ⅰ
キュリオとアオイが二人きりの楽しいひと時を過ごしている頃、別室ではガーラントを含むアレスとカイの三人はさらに深い話へと足を踏み入れていた。
「先生は精霊王の事を何かご存じですか?」
遠くに見えたはずの精霊国の門が気が付いたら目の前に迫っていたこと、そしてキュリオの上を行くという千年王の精霊王の話。
「私たちが悠久をでてすぐに向かったのが精霊の国でした。最初はすごく遠くに見えたと思ったのですが、次の瞬間にはもう目の前に…」
アレスの話を聞きながら隣のカイはその時の事を思い出すように頷いている。そしてその顔が緊張したように強張っているのは、その事態に直面した際かなりの衝撃を受けたであろうことは予想がついた。
「…そうじゃな…」
ゆっくり口を開いたガーラントはその時のブラストのように、恐れ多い事を口にするのをためらうような様子を見せた。
「…お前たち、精霊王の御姿までは見てはおるまい?」