狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅦ―ⅳ 精霊王の謎Ⅳ
「神具は弓矢かぁ…いかにも精霊って感じだな」
妙に納得しているカイは"うんうん"と腕組みをしてガーラントの話に耳を傾けている。
「先生、精霊王は…相手を選ぶということですか?」
「うむ。かつての王の中、一度も彼と顔を合せずにその生涯を終えた者もいるという噂じゃ。現精霊王については謎の多いお方であることは違いない」
「キュリオ様とは親交があるのですよね?」
すかさずアレスは大魔導師に問う。人見知りの彼がキュリオを尋ねてくるとあらば、精霊王のお眼鏡にかなったということだろう。
「そうじゃな。キュリオ様が王に即位してまもなく彼との付き合いが始まったと聞く。運が良ければお前さんたちも精霊王に会えるかもしれんのぉ」
(やっぱりキュリオ様は素晴らしいお方なんだ…!)
精霊王の彼がキュリオを気に入る理由がわかる気がしたアレスとカイ。自分の仕える王がますます誇らしくなり、思わず嬉しさが込み上げてくる。
そしてほぉっほぉっほぉっと和やかなガーラントの声が響き、それがキュリオと精霊王の関係が良いものだと物語っている。姿を見ることが叶わずとも、見え隠れする偉大な千年王の存在が少しだけ近くに感じられた幼い少年二人だった―――