狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅧ―ⅵ キュリオ・大地を駆ける癒しの力Ⅱ
キラキラと金色に染まる大地と、注がれる光に包まれながらアオイは安心したようにキュリオの胸にそっと顔を埋めた。そしてゆっくり閉じられていく彼女の瞼を見つめ、キュリオが彼女の頭を優しく撫でる。先程傷ついたアオイの指先に光は集まっておらず、それが傷の跡を微塵も残していないことを意味していた。
規則正しく繰り返される寝息に合わせるようにゆっくり彼の手がアオイの背を撫でている。光がおさまっていくのを見届けたキュリオは室内に戻り、音を立てぬようガラスの扉を閉めていく。
いつものキュリオならば、眠るまでもう少し時間があった。しかし、彼女と寝起きを共にすると決めたからには…こちらの都合を優先させるという選択肢は彼にはなかった。そっと天蓋のベッドに近づき、小さな体を抱いたままゆっくり体を横たえた。
その時、ピクリと動いた彼女の体と眉間。
(…夢でも見ているのかな?)
まだ眠気が襲ってこないキュリオは、楽しそうにアオイの顔をじっと見つめている。すると…時折悲しそうに表情を歪める彼女。
「なぜそんなに悲しそうな顔を…」