狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅨ―ⅰ 先代冥王とマダラ
『なぜ僕の神具はこの形を?』
まだ腰あたりまでしかないグレーの髪を揺らして先代の王に語りかけるマダラ。その隣で彼によく似た大人の男性が振り返り頷いた。
『これは唯一無二のお前の神具だ。死の鎌がどう形を成すか…ちょっとした逸話がある』
『…逸話…?』
『そう。平穏な代に即位した王の鎌は、美しく癖のない形をしている』
『じゃあ僕の場合…』
不安というより、期待感のようなものが勝りマダラの口元は不気味に笑みを浮かべている。
『うん、お前の代はきっと何かが起きるのだろうね…』
その様子に気が付いた先代は、彼の好戦的な性格を少なからず気にかけていた――――…