狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅨ―ⅹ 消えゆく命の灯・絶望
はっと顔を上げたキュリオ。
次第にその体はガクガクと震え…彼は絶望の淵へと立たされた。
「…アオイ…?」
古い書物を開き思案を練っていたガーラントは、キュリオの異変に気づき幼子へと視線をうつす。
「…っ!!眠ってはだめだっ!!!アオイッ!!!」
「…っま、さか…アオイ姫…様…」
「…アオイ姫様っ!!」
女官や侍女たちは悲痛なキュリオをみて察してしまった。
やがて彼女らの間で悲鳴やすすり泣く声が響く…
「…っなぜだ!?ガーラント!!一体何がアオイを…っ…!!!」
気が動転しているキュリオは左手でアオイを抱きしめたまま、右手でガーラントに掴みかかる。
「…キュリオ様、もう一刻の猶予もなりませぬ!」
「…そんな事はわかっているっ!!!」
「…冥王または…精霊王にご協力の要請を!!」
「…なに…?」
力強く言い放ったガーラントの言葉が信じられないと言った様子のキュリオ。
しかし、ガーラントにも確信はなかった。
外的要因がなければ心的要因を疑う。
キュリオの話から行きついた彼女を救う鍵は"夢"にあると睨んだからだった―――