狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩ―ⅰ 夢に殺される少女と夢を支配する王Ⅰ
―――ゆっくり湖面を歩く金髪の青年は、目先にある暗闇を前に足を止めた。
『……』
目を凝らしてみると、闇に溶け込んだ人影がかろうじて確認することが出来る。
蜷局を巻き、一層強くなる闇の気配。
…近づけばこちらまで飲みこまれてしまいそうな深い暗黒―――
しかし青年は無言のまま金色の光を纏い…
一歩、また一歩と距離を縮めていく。
『…娘…夢に滅ぼされる気か?…』
???"(……。)"
青年の声に返事はない。すでに魂は抜けており、体だけが残っているような状態なのかもしれない。
『……』
青年はさらに闇の中を進み、横たわる少女の体を抱き起し…問う。
『…我の声が聞こえるな?…』