狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩ―ⅶ 現れた精霊王・エクシスⅡ
神殿にたどり着いた光の精霊とキュリオ。
『…』
しかし、光の精霊は無言のままだった。
おそらく彼はこの中にいないのだろう。
『…大樹の方か…』
後方のキュリオの表情を伺い見ると…眉間に皺を寄せた彼は、悲しそうに幼子の額に頬を寄せている。少しでも自分のぬくもりを与えているつもりなのだろう。
すると神殿の中から姿を見せたのは水の精霊だった。
『…これは悠久の王』
優しそうな彼女の声に顔をあげたキュリオだが、悲しそうな表情のまま口を開いた。
「エクシスを探している…もう時間がないんだ」
はっとした彼女もやはり彼の腕の中の幼子に目を向けた。
『…申し訳ありません。わたくしにも王の居場所までは…』
すまなそうに語尾を下げた水の精霊の言葉にキュリオは肩をおとした。
「そうか…」
『時間がないのであれば…』
『…どうぞ貴方様の神剣をお使いください…』