狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅠ―ⅹ 一抹の不安Ⅱ
(瀕死の状態からでも復活可能なキュリオ様の万能な治癒の力が効かないなど…一体この子の身に何が起きておったのか…)
今回のアオイの場合、まだ心の臓も動いており息もあった状態からの悪化だった。そして…何より<夢幻の王>の力による復活…。
今までにそのような事例がないため、ガーラントの頭脳をもってしても解決の糸口は見つかりそうになかった。もしその謎の手がかりがあるとすれば…
直接アオイに問うか、精霊王に何があったか聞くしかない。
しかし、現時点で赤子であるアオイはまだ話す事もできず、そして…ガーラントの呼びかけに精霊王が応えるわけがない。
(もしまた同じ事が起きたら…)
ガーラントは城で取り乱したキュリオの姿を思い出し、激しく心が痛んだ。数歩前を歩く彼はとても幸せそうで、とてもじゃないがそのような話は当分出来そうになく…何も起きぬよう、為す術もないガーラントはただ祈るしかなかった―――