狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅢ―ⅰ 止まらない愛錠Ⅰ
隣にいるはずの幼子に視線を向けると…目の前の光景に一瞬にして目が覚めた。そして…驚いたように大きく瞳を開くキュリオ。
「…っ!!待って!アオイ!!」
ガバッと上半身を起こしたキュリオは必死に長い手を伸ばし、小さな体がベッドから落ちる寸前のところで彼女の寝間着を力強く掴んだ。そして彼の声に驚いた小鳥たちは鮮やかな翼を広げ…窓辺から飛び立ってしまった。
「…んぅ…」
飛び立ってしまった小鳥たちの姿を目にし、彼女は不服そうな声をあげたが…キュリオの心の臓は激しい振動を繰り返し…嫌な汗が流れた。
「……」
深く息をついたキュリオは両腕で彼女を抱き上げ、小さな体を強く抱きしめる…。
「…私の可愛いアオイ…」
「…君が自由に動けないように…私の腕の中に閉じ込めてしまいたいよ…」
アオイは背に腕をまわされ…顔を覗きこまれる。そしてひんやりとしたキュリオの指先がアオイの柔らかな頬をツゥとなでた。
…彼のその目には妖しい光が宿り、二人の間に沈黙が流れる…
「……」
いつもは優しいキュリオの瞳と手が、この時ばかりは少し恐ろしく…アオイは彼の視線から逃れるように己の視線を彷徨わせたのだった―――