狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅢ―ⅱ エデン・後悔の念Ⅰ
―――白銀の鎧を身に纏った大柄な男が巨大な水晶で創られた門の前に立つと…それはゆっくり開かれ、彼は実に数十年ぶりとなる悠久の地に足をつけた。
門をくぐってきた彼の姿を確認した悠久の家臣は、一層気を引き締め、背筋を伸ばすと毅然とした態度で深く一礼する。
「ようこそおいで下さいました!!エデン王!!」
「あぁ。勤めご苦労。…キュリオ殿は城にいるか?」
彼は男らしい低い声と力強い眼差しに誰もが憧れる彫刻のような美貌を持つ王だ。そしてその名に恥じる事なく、とてつもない風格とオーラを兼ね備え…他の上位王にも引けをとらぬ強大な力を持っている。
「はっ!有難きお言葉っ!!
早朝に戻られたキュリオ様は現在悠久の城にいらっしゃいます!」
「早朝に戻った?…忙しいのか?」
「い、いえっ!おそらくもう落ち着かれた頃かと…」
(何かあったか…)
「わかった。ならば邪魔させてもらうぞ」
すると彼は背に出現させた堂々たる翼を広げ、地を蹴ると…重力を無視したように力強く飛び立っていった。いつみても神々しい王たちの翼。王のみが許されるのは神具だけではない。その翼を持つ者こそが王である証なのだ。