狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅢ―ⅲ エデン・後悔の念Ⅱ
猛々しい稲妻を思わせる橙の髪と金の瞳。彼の神具は神槍で、五大国・第四位の王だ。そして<革命の王><雷帝>と言われる由縁は彼ら"雷の国の王"の歴史と深く結びついている。
そしてエデンは<雷帝>と言われるたび、いつもたった一人の少女を思い出す。
誰よりも美しく、誰よりも他人が傷つくことを良しとしない…心優しき少女。彼女の眼差しは春の光よりもあたたかく、愛に満ちあふれたものだった…。
"…エデン様"
記憶に新しいのは、少女の不安そうな表情と声。
そして…冷たくなっていく彼女の体…。
一体…何が最善の方法だったかわからない。
"すまない…すべてが手に負えなくなる前に俺に出来たことがあったはずだ…"
そう後悔するエデンの前で…漆黒の衣を身に纏った長身の男が声をあげた。
"何を今更…っ!!彼女を見捨てた貴様が言えた事か…っっ!!"
エデンに掴みかかる男の手は震えている。彼女がまだ笑っていた頃にも彼との小さな喧嘩はよくあった。そんな二人の様子を彼女以外の周りの者は笑って見ていたが…彼は本当に心の底からエデンを嫌っていた…
なぜならば…エデンはその男から彼女を奪った憎き男だからだ。
…後悔の念はいつまでもエデンの心に深く影を落とす。
そして、悠久に咲く…とある花を見て、彼はさらに辛い思いに身を投じる事となるのだった―――