狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅩⅢ―ⅳ エデン・後悔の念Ⅲ



「ねぇアオイ…どうして目をそらすんだい?私が怖い…?」



「……」



アオイは視線を彷徨わせたまま言葉を発しない。そして…徐々に小さな体を抱くキュリオの手に力がこもり始める。すると、驚いたアオイは不安と戸惑いに大きな瞳に涙を浮かべた…。



「…ひっく…」



「…っ!!」



彼女の涙に目を見開いたキュリオは、自分を責めるように眉間に皺をよせた。



「…私はまた…すまない…」



小さな体を優しく抱きしめ、労わるように彼女の濡れた目元に口付けを落とす。さらに謝罪の言葉を囁こうとすると…



『キュリオ様、おやすみのところ失礼いたします』



扉の向こう側からかかる家臣の声。キュリオは視線だけをそちらへうつし…



「…何の用だ…」



家臣に続きを促すよう言葉を発した。



『はっ!エデン王がお見えになってます。いかがなさいますか?』



「わかった…すぐ行こう」




< 258 / 871 >

この作品をシェア

pagetop