狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅢ―ⅸ キュリオの恋わずらい?Ⅲ
「キュリオ殿の愛に応えない女がいるとは思えんが…大事にしたい女性なら…」
「…なら?」
「相手の気持ちが追い付くまで待ってやるのが一番だろうな…愛を育むのはそれからの話だ。急ぎ過ぎると美しく咲く花もしおれてしまう」
(…まだ赤子のアオイに私は一体何を…)
「…そうか…」
キュリオは納得したように目を閉じてクスリと笑った。そして、エデンに話したことで心が軽くなった気もする。
「ありがとうエデン。君のおかげで何となくわかった気がするよ」
「ははっ俺がキュリオ殿に教えてやれる事があるとは思わなかったな。その想いが通じたら…いつか彼女を紹介してくれよ?キュリオ殿が選んだ女性なら本当に素晴らしい人だろうからな」
「あぁ必ず。君の恋人にも是非合わせて欲しいと思っていた」
「いつか…な。言っとくが俺の女は世界一だぜ?」
キュリオは笑いながらも"私のアオイの方が…"と心の中で秘かに反論したのだった。
二人はまだ知らない。
運命の…ひとつの分かれ道がすでに過ぎ去っていたことに…。