狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅣ―ⅳ 小さなぬくもりを抱きしめてⅡ
少しの間幼子を抱きしめていたキュリオは、エデンを待たせている事を思い出し…名残惜しそうにもう一度…女官へとアオイを預ける。
「取り乱してすまなかった…私が戻るまでアオイを頼む」
「…かしこまりました」
別れ際に幼子の目元を指先でくすぐると、笑顔を見せながら目を細めるアオイ。
「…またあとで」
幼子に言葉を残し、再び出て行ったキュリオの背中を見送る女官たち。
「…キュリオ様変わられましたね」
「ええ、本当に…」
彼女が来る以前、これほど心配性のキュリオではなかった。彼は特別な人物をつくることはなく、誰にも何事にもすべてが平等だったのだ。
これが彼にどのような影響を及ぼすのかわからないが…
(もしこの子が大きくなって余所に嫁ぐ事になったら…キュリオ様はどうなってしまうんだろう)と、そこにいた皆が思っているのだった。