狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅤ―ⅱ 王の夢Ⅱ
…どこかで見た気がするこの景色…
幼い彼女の胸には…懐かしさと切なさが入交り、アオイは記憶を辿(たど)るように…その意識をゆっくり夢の中へと漂わせはじめた―――
―――パチリと目を開いた彼女の目の前に広がるのは…巨大な…樹齢数千年と言われる太古の大樹たち。そして入り組んだ古木の根からは清らかな水がとめどなく湧き出ている。
「……」
周りを見渡してみても銀髪の王の姿はおろか、彼を取り巻く優しい者たちの声すらも聞こえてこない。
ただ清らかな水の音と、大樹が風に揺らす葉の音のみが空間を支配している。
その時、彼女の背後に人の気配を感じた。
そして…振り返ったアオイが見たのは…