狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅤ―ⅷ キュリオの片想いⅢ
室内へと戻ってきたキュリオとアオイ。
寝台の傍の明かりだけを残し、彼女を抱えたままキュリオは広いベッドの中心に腰をおろした。
「…さて、何をしようか?」
大人しく自分の膝に座っている幼子の顔を覗きこむと、瞬きした彼女と視線が合った。すると、アオイは上を向いてキュリオに笑みを向ける。己を抱きしめる彼の腕に手をのせ、何やら顔を近づけようと懸命に腕を突っ張っているようだ。
「なんだい?アオイ…」
いつも楽しませてくれるアオイの仕草。今日は何を見せてくれるのだろうと思うと、単調な毎日もたちまち薔薇色になる。
いつまでも頑張っているアオイの姿に微笑んだキュリオは、膝の上の彼女と向き合うように抱き方を変えた。小さな背中を支えたまま、幼子の望むように己の顔を近づけてみると…
…アオイの濡れた指先がキュリオの唇をなぞった。
「…っ!」
思わず驚いたキュリオは目を見開いたが…彼女にされるがままになってみる事にした。