狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅤ―ⅸ キュリオの片想いⅣ
「きゃぁっ」
指先に感じるキュリオの唇の感触に幼子は声をあげて笑っている。どうやらアオイは昼間の事を覚えているらしい。クスリと笑ったキュリオは、その仕草を真似るように親指で彼女の可愛らしい唇をなぞった。
「…?」
自分のされていることが良くわかっていないアオイは、首を傾げるように動きを止めた。そしてそのまま、キュリオの唇をなでていた指先は彼の頬へと移動する。
アオイの触り方はいちいち可愛い。指先を肌にのせるようにちょんちょんと触れてたかと思えば…キュリオの反応をみて表情がころころ変わる。
声をあげて笑う彼女を見ていると胸の中にじんわりと広がる確かな愛。そしてキュリオに頬をなでられたアオイは気持ちよさそうに目を細めると、小さな体を目の前の美しい王に預けてきた。
「…私を父親だと認めてくれたのかな?」
キュリオの問いにただ頬を染めて笑っているアオイ。
「今はまだ父親でいい…幼い君が必要なのは親の愛だからね」