狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅥ <革命の王>エデン


―――エデンは雷鳴轟く暗がりの空を見上げながら、岩場を歩いている。



悠久から戻った彼は己の国を見回り、何事も起きていないかを確かめていた。この国の者は比較的体が頑丈で、恵まれた体格の男が多い。そして彼らの寿命は普通の人間よりも長いのが特徴だった。



王が立つ前のこの国はひどく荒れ、各地で争いが絶えなかったと聞く。恵まれた肉体だけに、己の強さと権力を誇示するための戦いだったと思われる。



平和と秩序を愛した初代の王は、授かった神槍で力による制圧を成し遂げたという。何人(なんぴと)たりとも近づけぬほどの圧倒的力。


そこから王による国の統制が図られ、現在のような規律正しい雷の国となったのだ。もしかしたら<革命の王>という二つ名はそれが由来なのかもしれない。



一際鋭き切り立った巨大な崖の上に彼の王宮はあった。重厚な門が開かれると、主(あるじ)を待っていたのは数十人の鎧をまとった戦士たちだった。



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