狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅥ―ⅰ <革命の王>エデンⅠ
「エデン様のお帰りだ!!」
ひとりの家臣がそう叫ぶと、王宮を灯す明かりが一斉に広がっていく。
「おかえりなさいませエデン様!!」
一糸乱れぬ動作で彼をむかい入れ、さらに奥の扉が開かれると待ち受けていたのは彼に長く仕えるひとりの大臣だった。
「エデン様、おかえりなさいませ」
彼は鎧こそ纏っておらぬが、やはり長身で大柄な男だ。王が不在時には彼がエデンの代わりを務め、キュリオへの書簡を綴ったのもこの大臣だった。
「留守中ご苦労だったな。書簡の件でキュリオ殿も感謝していたぞ」
「はっ!滅相もございません!エデン様、キュリオ様の書簡がこちらにございますがお目通しになられますか?」
「その話はキュリオ殿から解決したと聞いた。もう不要かもしれないが一応俺が預かっておこう」
エデンは彼が差し出してきた封筒を受け取るが、目を通さず懐にしまった。