狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅦ―ⅴ 女神Ⅴ
そんな二人の様子に小さくため息をついたキュリオ。持ち上げていたアオイを胸元に戻すと、指先で彼女の頬を優しく撫でた。周りの声に驚いた様子を見せていた幼子はキュリオの視線が己に向けられると…安心したように笑みを浮かべる。
「…アオイ、少し待っていておくれ」
やがて女神たちの騒がしい声を耳にした女官や侍女は急いで身だしなみを整え、次々に中庭へと集まってきた。
「…キュリオ様」
心配そうに一歩進み出た女官。
「……」
しかしキュリオの無言の返答に、女官たちは彼の命令が出るまで大人しく後方に待機する事にする。
「だいたいねぇ…昨日遅くまで何着て行こうかって迷っていたじゃない!?私が主役なのに!!」
「マゼンタ…お願い…もうやめて…」
頬を赤らめたままあたふたするウィスタリアだが、彼女は横目でキュリオの表情を伺っている。よっぽど彼の反応が気になるようだ。
しかし…