狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅧ 二人の女神
自室へと戻ってきたキュリオは、アオイを抱いた女官と彼女の世話をする侍女たちへと声をかけた。
「朝早くから皆すまないね…
予想外の予定を入れてしまった。食事を済ませたら彼女たちには帰ってもらうつもりだが、その間アオイに何かあったら遠慮なく私を呼んでほしい」
「かしこまりましたキュリオ様…姫様は私たちにお任せください!」
「あぁ…頼む」
頼もしい女官や侍女らはアオイを抱いて別室へと移動する。そして、静かに閉じた扉を見送ったキュリオは足取り重いまま、クローゼットに手をかける。
(すまないアオイ…)
己の気持ちを抑えてまで民の願いを聞き届けなくてはならない事にキュリオは不快な疑問を抱いた。
「…これも王の務めだというのだろうか…」
彼は何度目かとなるため息をつきながら、適当に取り出した衣に袖を通し…広間へと向かった―――