狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅧ―ⅷ マゼンタの目論見(もくろみ)Ⅰ
(ちょっと…ウィスタリアってば見過ぎでしょ…)
マゼンタは美味い料理に舌鼓をうちながら、隣でキュリオに見惚れている一番上の姉を横目でみやった。
そして気付かれぬよう…キュリオの顔をそっと盗み見したマゼンタは、悲しみのため息を漏らす。
(…こりゃダメだわ。キュリオ様ちっとも気づいてない…)
銀髪の王はウィスタリアやマゼンタの視線をまったく気にする様子もなく、先程からずっと悠久の地を見つめている。
(よし…こうなったら…っ!!)
意を決したマゼンタは大きく深呼吸すると…
「ブーーーッ!!ゲホゲホッ…ゴホッッ!!」
「……」
やっとこちらに目を向けたキュリオ。しかし…その瞳はどこまでも冷たい。
(…やっば…私かなり汚い女に見られてるっ!!)
内心キュリオの視線がとても痛く、青ざめていくマゼンタの顔色。