狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

ⅩⅩⅧ―ⅸ マゼンタの目論見(もくろみ)Ⅱ



「どうしたのっ!マゼンタ!!大丈夫…っ!?」



すっかり汚れてしまった彼女の口元とドレス。そして悲惨な事に…美しくまとめられた髪やリボンにまで料理のソースや肉汁が飛び散っていた。



慌てたウィスタリアは取り出したレースのハンカチで、汚れてしまった彼女の口元を拭おうと急いで立ちあがった。




「あ…いいのいいのっ!ウィスタリア!!…キュリオ様、お手洗い貸していただけます?…へへっ…」




「マゼンタ…君という人は…」




うんざりしたようなキュリオの瞳。彼はまるで頭痛を抑えるようにこめかみへと指先を這わせる。



(…あ~ぁ…わたし…キュリオ様に嫌われちゃったな…)



あまりの悲しみに目頭が熱くなるマゼンタ。しかし、彼女は優しい長女のため…大好きなキュリオに嫌われることを選んだ。



そして…キュリオに呼ばれたひとりの侍女がマゼンタへ付き添うと彼女は静かにその場をあとにする。



「…ごめんねウィスタリア、ちょっと行ってくるね…」



悲しみを押し殺したような…マゼンタの痛々しい笑顔。彼女の表情でウィスタリアはわかってしまった…




「マゼンタ…もしかして貴方…わざと…」




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