狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
ⅩⅩⅨ―ⅳ 異物Ⅳ
「ふふっ、そろそろ限界かな?いい加減顔を見せてあげないと可哀想だね」
目を細めて嬉しそうに笑うキュリオ。ウィスタリアやマゼンタが心から欲しがった…彼の本当の笑顔がそこにあった。
「そのようですわ。あれからずっとキュリオ様のお姿を探しておりましたのよ?」
女官はウィスタリアの様子を気にも留めず、口元に手を添えながら上品に笑っている。
「…マゼンタを…呼んで参ります…」
ふらりと立ちあがったウィスタリア。
すると、キュリオは即座に言葉を返した。
「…あぁ。そうしてくれると助かる」
「……」
キュリオのその言葉にウィスタリアは頷かず、俯いた彼女は静かにテラスを後にした―――