狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXI 獲物
「その赤ん坊が…なんだって言うのよっっ!!」
―――ダッ!!
鋭利に尖った切っ先をアオイに向け、ウィスタリアは幼い少女目がけ勢いよく突進してくる…
(この女さえいなくなればっっ!!)
無防備な赤ん坊の背が血に染まる様を想像し…恐ろしい女神は束の間の悦楽に酔いしれ、不気味な笑みを浮かべていた―――
――――――…
(…何故だ?なぜこんな時に胸騒ぎが…)
「……」
「…キュリオ様?」
キュリオは目の前のマゼンタには目もくれず、不可解な胸騒ぎに焦りを感じていた。