狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXI―ⅳ 獲物Ⅳ
―――ゆっくり足をおろした青年は幼子を両腕に抱き直し、ふぅと息をついた。
「こんなに小さいのに…お前って結構嫌われてんだな」
「……」
青年の言葉にアオイは答えられない。だが、心なしか寂しそうに肩を落としているような気がする。
「…このまま俺のところに来るか?」
「…っ」
優しく顔を覗き込まれ、思わずアオイは彼の顔を見上げてしまう。
「っと、その前に…」
「少しじっとしてろ…」
「…?」
首を傾げるアオイの元に妖艶な彼の顔を近づき…アオイの目尻を柔らかい感触がなぞる。開いた傷口にそれが触れ、痛みと驚きにピクリと体が反射的に動いてしまった。
「傷は治せないが…痛みを快楽に変えることは出来る」
そして先程とは違う…今度は熱い彼の濡れた舌が幼いアオイの傷口をいたわるように優しく滑っていった―――