狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

XXXII―ⅱ 揺れる心Ⅱ



―――トッ…




ティーダは液状化した床を抜けると…開けた眼下に見慣れた冥王の一室が広がった。




「…どこだマダラ」




ヴァンパイアの王は長い黒髪をひるがえし紅の瞳を細め室内を見渡すと…背後から現れたのは




「やぁティーダ。おかえりと言っておこうか」




何もないところから突如姿を見せたマダラ。手には大鎌が握られており、その先にはティーダの血がわずかに付着していた。




「…なぜ俺の邪魔をする」




振り返ったティーダは不機嫌そうに彼を睨み、仁王立ちしながらに腕を組んでいる。




「ちょっと手を出したつもりが…国ごと滅ぼされかねないってわからない?相手は在位五百年を超えた悠久の王だよ」





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