狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】
XXXII―ⅲ 揺れる心Ⅲ
「別に今に始まった事じゃねぇしな。俺はやりたい時にやるって決めてるんだ」
「…ふふっ、素直じゃないね。わざわざ不利な昼間を狙って行ったっていうの?」
「……」
マダラの鋭い突っ込みに押し黙ってしまったティーダ。彼はふてくされたように顔を背け扉へと向かい歩みを進めていく。
「…正当な理由があるなら手助けしないこともないからさ。実行する前に僕に教えてよ」
と、思いがけない冥王の申し出にヴァンパイアの王は立ち止まった。
「…そうか…」
「なら…あと数十年後に頼むかもしれねぇな」
ふっと意味ありげに笑みを浮かべたティーダの瞳には幼い少女が美しく成長し、こちらに微笑んでいる姿が幻のようにうつっていた―――