狂気の王と永遠の愛(接吻)を 【第一部 センスイ編収録版】

XXXIII―ⅸ 仕立屋(ラプティス)・ロイⅣ



視線を下げたロイはもう一度、赤ん坊の姿を目に留める。
すると大きな腕の中、安心しきった笑顔を浮かべる彼女が見つめる先には…それ以上に幸せそうに微笑むキュリオの顔があった。




(…このお二人の間に流れるあたたかな雰囲気は…)




「…私にはこう見えます」




「何だい?」




「…キュリオ様を愛するために生まれてきた、たった一人の乙女…」




「…なんて。柄にもないことを…す、すみませんっ!!」




生真面目な性格のロイは、自分で発した言葉に頬を染めながら照れたように後頭部に手を当てている。




「……」




顔をあげたキュリオの美しい空色の瞳が驚いたようにロイを見つめている。




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